モンゴル訪問(4)病院訪問
モンゴル国立がんセンターは2回訪問した。270床の病院だが、 日本のどの病院よりも多い年間600例の肝切除、1,500例の肝動脈塞栓術を実施している。講演に先立ち病院内を見学した。
アブレーションは年間500~600例。アブレーションの方法は私たちとかなり異なるが治療レベルは高い。 なお、「アブレーションに力を入れた方がより多くの患者を救うことができる。アブレーションは医療経済的にも優れているのでもっと投資したほうが良い。順天堂のIVO室は世界で最も優れた設備とスタッフを持っているが、それでも手術室を一つ作るよりも費用は少ない」と病院幹部との懇談の際に話をした。後で、「院長が先生の話を聞いて『アブレーションの予算を増やす』と言ってくれた」とアブレーションを担当している医師から感謝された。
モンゴルでは癌は死因の第二位を占めている。癌の中では肝癌が最も多く、続いて胃癌、肺癌、食道癌、子宮頸癌である。肝癌の早期発見のためB型肝炎、C型肝炎患者に対するサーベイランスが行われているようである。
もう1つの訪問先は日本モンゴル教育病院(108床)である。日本の80億円の無償資金協力により建設された。モンゴル唯一の医療系国立大学であるモンゴル医科大学の初の教育病院である。2019年オープンのため、日本の新しい病院と同様の設備である。
椎名 秀一朗