台北ライブデモ総括:“2025 Taiwan Ablation Training with Professor Shuichiro Shiina”
7月26日~27日、台湾・台北栄民総医院で「2025 Taiwan Ablation Training with Professor Shuichiro Shiina」を開催しました。
今回のライブデモンストレーションでは6例の治療を行いました。私は台湾の医師免許を持っていないため、パスポートや日本の医師免許証のコピー、英語論文や国際学会発表のリスト、勤務先の証明書、厚生労働省発行の医師免許証の英訳証明書など、多数の書類を準備する必要があり、事務手続きが大変でした。
治療対象となった6例は、心臓直下の病変、複数回の肝切除後の再発、透析中の患者など、3000床(日本の大学病院の3倍)規模の病院が用意したチャレンジングな症例でした。1日目に治療した3例については、日曜日にもかかわらず午前中にCT撮影をしてもらい、午後に受講者全員で焼灼の成否を評価しました。3例とも完全焼灼が確認されました。
アブレーション機器は、台湾では日本ではまだ未認可の最新式MWAジェネレーター(出力150W)が使用可能でした。RFAについても、日本では電極1本しか使用できないよう改変されたジェネレーターのみ認可されていますが、台湾では複数電極の同時使用が認められていました。
超音波機器は、日本で私達が使っていたのと全く同じ機能を持つ機器を用意してもらいました。私が企業と共同開発した穿刺専用プローブも最新のものを用意してもらえました。 ただし、出国前には「滅菌の必要なアタッチメントが4例分しか用意できないので、残りの2例に関しては最新式のプローブは使用できない」という話でした。ところが台北栄民総医院では6例とも 最新式のプローブを使用して治療できました。おそらく土曜日の晩から日曜日の朝にかけてアタッチメントを滅菌してくれたものと思われます。なお、超音波技師とは日本語でコミュニケーションができスムーズに治療することが可能でした。
手術台はインターベンション専用台がなく、初回は病室のベッドを使用しました。2例目以降はシッティングポジションが可能なストレッチャーを用いましたが、アップライトポジションが取れないため、第2例目の心臓 脇の病変、第6例目の S 2の病変は治療時に困難を感じました。
また、私たちは消毒用セット、接着剤付きドレープ、注射器、メス、チューブを固定するためのシール、ガーゼなど必要十分な機材が入っ治療用のキットをセットアップしています。このようなちょっとしたものも治療をスムーズに進行するには重要です。次回台湾の訪問時にはご参考までに持参したいと思います。 人工腹水作成用の14ゲージ 針などは日本から持ち込みました。
プログラム準備の過程では、台湾側と合計66通のメール、10回以上のMessenger電話での連絡を重ねました。過去5日間で行ってきた内容を2日間に凝縮したプログラムでしたが、十分な事前準備と協力体制のおかげで成功裏に終了することができました。
今回も東大の後輩である三井記念病院の森山先生が同行してくれました。
次回は台湾南部で開催しようという話になりました。
また、香港、ベトナム、インド等の医師からも「ぜひトレーニングプログラムに参加したい」という連絡がきています。国際版トレーニングを実施する施設が日本にないならば、他の国の先生方も参加できるような国際版プログラムを台湾で実施しようという構想も出ました。
大変充実した2日間でした。
椎名 秀一朗