10月23日にアブレーションに関する意見交換会「Japan Ablation Summit」を実施しました
10月23日(金) 19時から21時までWebを使い「Japan Ablation Summit」と銘打ってアブレーションに関する意見交換会を実施しました。
コロナ時代になり人の行き来が制限されています。アブレーションを実施する先生方の間の情報交換も少なくなっているためこのような機会を設けることとしました。
今回は全国各地から10名の先生方に参加してもらい、
- 新型コロナウイルスに関する各施設の対応・活動について(How has been the ablation activity in your area and institution during COVID-19 pandemic?)
- 現在、各施設のアブレーション症例数に関して(How has been the number of ablation, decreased, stable, or increased?)
- 使用しているデバイスに関して(各デバイスの使い分けは?)(Which ablation devices do you use in your institution?)
- 医療現場においてアブレーションの役割を確立および拡大する方法について(What should we do to expand a role or establish a position of ablation in medicine?)
- 若手医師をアブレーションの分野に引き込むための効率的な方法について(Are there any useful methods to attract young doctors to the field of ablation?)
などの話題について話をしました。外科の先生、放射線科の先生にも入ってもらいました。
新型コロナの蔓延により、外科手術は大幅に減りまた内視鏡検査は一時期70%減となっていたようですが、アブレーションに関してはあまり影響を受けなかったようです。ただし、どの病院でもコロナ専用病棟を設けたり、コロナ対策に人員を割いたり、病院全体としては患者が減ったりして大変だったようです。また、コロナ感染者が多かった地域だけでなく、逆にコロナ患者がほとんどいなかった地域でもコロナ感染が起こったら社会的に大変な影響が出るということで、大きなプレッシャーがあったようです。今後冬に向かうに従い感染者が増加する可能性もあり、感染対策などに一層注意をしながらアブレーションを実施していく必要があると思われます。
なお、前日(10/22)にHepatology International にアクセプトされたばかりの”APASL practical recommendations for the management of hepatocellular carcinoma in the era of COVID-19” も簡単に紹介しました。これはCOVID19時代の肝癌診療に関する私たちの考えを記載したものです。
アブレショーンは根治性がありながら低侵襲であるということで実臨床では広く実施されてきました。しかし切除可能症例では外科手術が優先されるべきであるという考えがありました。このため、外科切除とラジオ波焼灼術の有効性を無作為化比較試験により検討する多施設共同ランダム化比較試験(SURF trial) が我が国で実施されました。その結果は3年後の無再発生存率で外科切除の優越性は認められませんでした。今後は侵襲の小さなアブレーションが優先されるものと思われます。
アブレショーンをさらに発展させていくにはどうしたらよいかも話題になりました。アブレショーンの将来を担う人材が必要ですが、若手医師がアブレーションに興味を持つにはまず自分で超音波検査をやってもらうことが重要だろうということになりました。さらに、アブレショーンの環境を整備していくことも必要だろうということになりました。
全国各地、離れた場所にいるにもかかわらず、Zoomを使うことによりスムーズに意見交換ができました。コロナによりしばらくは皆で集まったりすることは困難と思われ、今後もこのような形で時々交流を持っていきたいと考えています。