椎名秀一朗 医師 オフィシャルブログ

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Liver disease trends in the Asia-Pacific region for the next 50 years が Clinical and Molecular Hepatology に掲載されました

この度、9カ国の研究者と協力し、アジア太平洋地域における今後50年間の肝疾患の動向を詳細に分析した論文を発表しました。 本論文は、Impact Factor 16.9に上昇したClinical and Molecular Hepatologyに掲載されています。

以下が主な内容です:

肝疾患の変化

  • ウイルス性肝炎関連疾患は、ワクチン接種や抗ウイルス治療の進展により減少傾向にあります。

  • 一方、生活習慣病に関連する肝疾患(MASLDやMASH)は、肥満や糖尿病の増加に伴い増加しています。

環境・職業的要因

  • 大気汚染や重金属汚染などの環境要因が、肝疾患リスクを高めます。

  • 特にPM2.5やアフラトキシンが肝臓に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

遺伝学とエピジェネティクス

  • 遺伝子変異(PNPLA3やTM6SF2など)が肝疾患の感受性に影響を与えます。

  • エピジェネティクス研究は、個別化医療の発展を促進しています。

AIとビッグデータの活用

  • AIは診断精度の向上や治療計画の個別化に貢献しています。

  • 遠隔医療やウェアラブルデバイスとの統合により、患者管理の効率化が期待されています。

健康政策と予防策

  • 公衆衛生キャンペーンや政策改革は、肝疾患の予防と治療において重要な役割を果たします。

  • 肝移植の需要増加に対応するための技術革新が進んでいます。

結論
アジア太平洋地域では、ウイルス性肝炎の減少と、生活習慣病関連肝疾患の増加が予測されます。遺伝学、AI、環境政策の進展は、肝疾患の負担軽減に寄与するでしょう。

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